コラム

!  秘密基地のはなし

うちから出て少し歩いて行った所に、あたりまえの様に空き地が有った。
ねこの盛りの時期が終わって、子ねこを見つけることがそんなに珍しくなかった頃だから、草むらの高さも背丈以上でちょうどいい感じだった。
  「おい!あそこがいいんじゃない?」 ぼくらみんなの真剣なまなざしは、いったい何をチェックしていたのだかは謎、しばらく顔を見合わせた。「出入りするときだけ人に見つからない様に気をつければ大丈夫だな、よしあそこでいくか!」
取りあえずチェック、草むらを奥に向かって入って行く、道はない。
10メートルくらい入った所にそこはあった。
「ここいいじゃん!」「そうだな、ここなら日も当たるところも日陰もあるし!」「よーし決まり!」
秘密基地の場所が決まった。
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しきりたがりの`せまざ`が早速、「ひできはおもちゃとか持って来てな!」「ちゃらは段ボール集めて来てくれよ!」「おれはおやつとか持ってくるからな!」
3人はプラモデルを買ってもらった時の様にいそいそとしごとをはじめた。
クズのつたが基地を作りやすく、そして良いカモフラージュになったが、いつもクズにカメムシがついていて臭かった。
半日もしないうちに秘密基地が出来てきた。嬉しい、僕らの基地。格好もいい、草むらに入ってみないとわからない。学校の帰りには直接寄らないで、帰ってからバラバラに集まった。違う草を踏むと足跡がつくのでそれすらにも気をつけた。
秘密は絶対、みんな言葉にしなくてもそうした。
基地は常に課題がいっぱい。明日はあれをもってこよう、これが必要だ!とか、、、
みんないつもけんかばかりしながら次第に基地の中にも自分たちのスペースが出来て来た。
好きなものを持ち込んだ。石、泥だんご、材木、発泡スチロール、、、ねこ。
好きな女の子の話を打ち明け合った。
どれほどの時が立ったのか? 

荻の穂が草むらを覆う頃、みんなはそれぞれ別の事で遊ぶ様になっていた。あっという間だったのかどうかはわからないけど、基地は秘密に自然の一部に戻って行った。

記憶より